ビジネスで欠かせない重要な概念の一つが〝ゴール(目的)〟です。
設定した〝ゴール〟次第であなたのビジネスや人生ががらりと変わってしまいます。
ところが、それほど重要な概念であるにも関わらず
ゴール設定がうまくいかず、結果として事業の方向付けを誤ってしまう人が後を絶ちません。
事業の方向付けを誤ると、単なるビジネスの失敗という程度では済まされないことがあります。
それは、自分の存在価値を見失う深刻なリスクがあるからです。
そこでこの記事では、ゴール設定がうまくいかない3つの原因をご紹介します。
1.【原因1】ゴールと目標を混同している
1.1 ゴールは抽象的で良い
1.2 目標はルートを正しく進めているかを教えてくれるもの
2.【原因2】目標設定の誤り
3.【原因3】そもそものゴールが偽物
3.1【見極めポイント1】端的な言葉で言い表せるか
3.2【見極めポイント2】思い描くゴールと〝相似形の現実〟を見つけられるか
3.3【見極めポイント3】ゴールに自分の『存在価値』を見いだせるか
4.誰もが〝真のゴール〟から逃げられない
1.【原因1】ゴールと目標を混同している
ゴールはあなたに希望と勇気を与えてくれる最高最善の未来です。
どれくらい最高最善かというと「今まで経験したことが無いからイメージできない」というくらいのものです。
大雑把なイメージや抽象的な言葉でしか表現できないのがゴールです。
ところが、
自己啓発セミナーなどに行くと講師から「ありありと具体的にイメージして下さい。」と言われることがありますが、これは間違いです。
ありありと詳細なイメージが必要なのは〝目標〟であってゴールではありません。
このように言うと、
もしかしたら、あなたは「目標とゴールの違いが余計に分からなくなってきた」と混乱したかもしれませんのでもう少し詳しく解説します。
1.1ゴールは抽象的で良い
登山に例えるなら、ゴールは〝山頂にたどり着くこと〟であり、目標はその途中にある〝マイルストーン〟です。
ここで大事なことはゴールは数値化できないということです。
「山頂の標高は数値化できるじゃないか」という反論があると思いますが、高さを競うことが喜びで登山をする人はほぼいません。
山頂にたどり着いたときの〝成し遂げた〟喜びというのが本質でしょう。
つまり、
ゴールとは多分に精神的なものであり、本来は数値化できないものなのです。
このようなことから、
「ゴールイメージをありありと詳細に描きなさい」というアドバイスはゴールの本質からあなたを遠ざけることがお分かりいただけるでしょう。
1.2目標はルートを正しく進めているかを教えてくれるもの
一方、目標とはゴールまでのルートにいくつもある〝マイルストーン〟です。
マイルストーンとは、登山道などの途中に数マイルごとに置かれている石の目印のことです。
※1マイル=1609.344メートル
マイルストーンがあることで私たちは現在地を把握できます。
もし、歩いても歩いてもマイルストーンが見つからなかったら遭難の危険があるわけです。
ビジネスにおいても目標=マイルストーンを設定しておかないとゴールまで順調に進めているのか判断することができず、遭難しかねません。
なお、一般には目標を細分化した小目標を特にマイルストーンと表現し、大目標と区別することがあります。
2.【原因2】目標設定の誤り
目標設定を誤るとかえってゴールから遠ざかります。
ここでは経営者Eさんの事例をご紹介します。
Eさんのゴールは「誰もが幸せに働ける会社づくり」です。
Eさんがこのゴールを思い浮かべると「成し遂げたい!」という気持ちから離れられなくなります。
ゴールとはそういうものです。
ここで現実的にゴールにたどり着くためには、ゴールまでの〝ルート設計〟が必要です。
ルート設計では、途中にどのマイルストーンをどの順番で通過していくかを決めていきます。
Eさんは残業ゼロの実現を中期的な目標として「生産性を30%改善する」という目標を立てました。
果たしてこの目標を達成したEさんはゴールへ大きく近づいたのでしょうか?
残念ながら、ゴールから後退してしまいました。
その理由は、生産性の改善で人材に余裕が出たことによる配置転換です。
会社としては社員にフル稼働してもらわねば困ります。
そこでEさんは配置転換をしたのです。
ところが、
望まぬ配置転換によって退職を決断する人たちが出てきました。
もちろん、Eさんは彼ら彼女らに辞めてもらう意図はもともとなく、もっと働きやすくしようという思いからの取り組みでした。
このように〝目標達成によるデメリット〟を想定しておかないと不適切な目標設定となってしまい、かえってゴールから遠ざかります。
3.【原因3】そもそものゴールが偽物
これが最も多い原因です。自分のゴールだと思っていたが「違った」というもの。
一生懸命に取り組んでお金も時間も費やしてきたのに「こんなはずじゃなかった」というのでは悔やまれません。
そうならないために、あなたのゴールが本物かどうかを見極めるポイントを3つご紹介します。
3.1【見極めポイント1】端的な言葉で言い表せるか
ゴールを端的な言葉で言い表せるかどうかは非常に大きなポイントです。
ここでゴールの実例を挙げた方が理解しやすいと思いますので3つの実例をご紹介します。
一例目は私(高松)のゴールです。
「幸福と経済的豊かさが両立する社会の実現」。
二例目はレストラン経営者の方です。
「家族と過ごす安らぎ・満足を地域の皆が味わえること」。
三例目はWebコンサルタントの方です。
「自分の可能性を自分でひらき解放すること」。
このように、スッキリと端的な言語表現ができているということは、思考のノイズや違和感が無く自分でも納得して目指したいゴールになっていることを示しています。
とはいえ、
このような状態にまでたどり着けている社長・個人起業家はかなり少数派です。
なぜなら、
〝真のゴールは無意識の中に隠れている〟ことが多いからです。
これを掘り起こす作業が必要になります。
私(高松)は脳科学・心理学を応用して100名以上の社長・個人起業家の真のゴールを言語化するお手伝いをしておりますが、その経験をもとに重要なポイントをあと2つご紹介します。
3.2【見極めポイント2】思い描くゴールと〝相似形の現実〟を見つけられるか
真のゴールは無意識の中に隠れています。
ということは、あなたは無意識のうちにそれを現実にしようとがんばっているということです。
反対に、
今までゴールに向けて何も行動も努力もしてこなかったということは、あなた自身がそれを全く望んでいなかったからです。
このシンプルな原理を理解できたら今、目の前の現実をよく観察して下さい。
必ずあなたが心から望んでいる真のゴールと〝相似形の現実〟が僅かでも存在しているはずです。
もし、「全く見つからない」のであれば、あなたが思い描いているゴールは偽モノです。
3.3【見極めポイント3】ゴールの中に自分の『存在価値』を見いだせるか
人は快へ向かい、不快を避けるというのが脳科学・心理学業界の一般論ですが、それが全てでしょうか。
私はそうは思いません。
もし、その理屈が全てであれば、なぜかつての日本には「武士道」が根付いていたのでしょうか。
それは、快・不快を超えて自らの『存在価値』を問う文化があったからです。
人はゴールの中に自分の存在価値を見いだしたとき、どんなに辛くてもそのゴールを成し遂げる強い意思が生まれます。
単なるお金儲けや勝ち負けにこだわる矮小な人物ならいざ知らず、あなたが社長や個人起業家として社会に関わっているのであれば、そのような強い意思がないと超えられない壁がいくつも出てくるでしょう。
ビジネスを長く続け、しかも豊かに成功するにはそれだけの強い意思が必要です。
あなたは、今思い描いているゴールの中に自分の『存在価値』を見いだせますか。
4.誰もが〝真のゴール〟から逃げられない
ビジネスをしていると自分や自社の『存在価値』について深く考える時期が必ずあります。
仮に深く考えたことがなくてもあなたの脳と心は常にあなた自身にサインを送っています。
それは、幸福・不幸というサインです。
今が幸福であったとしたら、それは真のゴールに向けて前へ進んでいることを示すサインです。
もし今が不幸でも、それはあなたの脳と心が「真のゴールから逸れているよ」というサインを送っているに過ぎません。
とはいえ、
道に迷いゴールから遠ざかる状況が続くととても苦しいでしょう。
「もう前へ進むのを止めて楽になりたい」という気持ちが出てくることもあると思います。
それでも、私たちはどうしても真のゴールからは逃げられません。
なぜなら、人はどんなに辛くても「辛くても未来を切り開きたい」という希望を捨てることができないからです。
希望を捨てたときは死を選んだときです。
忘れないで欲しいことは「生きている以上、真のゴールへの道は常に開かれている」ということです。
これを理解した上で、
「どんなに辛いことがあったとしても真のゴールからは逃げない」と決めることがゴール設定を間違わない最も重要な一手なのです。